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せんべいはもともとおやつやお茶菓子として安定した需要のある商品ですが、実は贈答品としても人気があります。ここでは、せんべいが贈答品として需要がある理由や購入を期待できる年齢層、新規顧客を獲得するための切り口などをまとめました。
日本では日頃の感謝の印や季節の挨拶として、贈答品を用いる文化があります。また、お宅を訪問する際にも、何かしらの贈答品を持参するという人は多いでしょう。さまざまな贈答品のなかでも家庭用贈答品として多く選ばれているのが「お菓子」です。
全国菓子工業組合連合会が総務省統計局による平成27年の家計調査をもとに推計した贈答品の割合では、全体の3分の1強を菓子類(37%)が占める結果になっています。続いて多いのが果物(11%)と魚介類(11%)です。魚介類には贈答品として人気のある鮭や数の子、海苔などが含まれると予想されます。
菓子類の内訳については記載されていませんが、一般的にせんべいは贈答品として人気のある商品の1つです。
※参照元:全国菓子工業組合連合会(全菓連)(http://www.zenkaren.net/_0700/_0709)
せんべいが贈答品として選ばれやすい理由としては、「常温保存が可能」という点がまずあげられます。冷蔵庫の中で場所を取って邪魔になることがなく、贈られた相手の負担にならないのは贈答品として大きなメリットと言えるでしょう。
また、贈答向けの高級せんべいだと自分用として買う機会がそうないため、相手から喜ばれやすいのもポイント。さらに高級せんべいは素材や見た目にもこだわっているので見栄えが良く、贈答品に適しているというのも人気の高さにつながっていると考えられます。
そのほかにも、せんべいは老若男女から受けやすく、季節も問わないので贈りやすいというのも魅力です。
総務省統計局が発表している2021年度の家計調査(単身世帯)によると、せんべいへの年間支出額が最も多い年齢層は65歳以上の3,842円です。年齢が高くなるにつれて購入額が上がる傾向にあり、34歳以下は930円と65歳以上と比べてかなり大きな差があることが分かります。
また、LINEリサーチが日本全国の15歳~59歳の男女を対象に行なったスマートフォンWeb調査でも、せんべいやあられを週1日以上食べる人の割合は男女ともに50代が最も高く、50代女性では6割弱という結果に。一方でまったく食べないという人の割合は10代~20代が他の年代より高く、16~17%となっています。
せんべいを開発するうえでは、もともとのターゲット層である高齢者も念頭に置きながら、せんべいの需要が低い若年層にどうアピールしていくかがカギとなっていきそうです。
※参照元:総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/kakei/index3.html)
※参照元:LINEリサーチ(https://research-platform.line.me/archives/38984326.html)
せんべいと同じく高齢者を主なターゲット層にしている大福やどら焼き、団子などの和菓子が、コンビニのレジ前のワゴンやレジ横に並べられているのを目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。これは、高齢者の常連化を狙いたいコンビニ側の戦略の1つと考えられます。
コンビニに並ぶ和菓子として代表的なのが山崎製パンの串団子で、コンビニの隠れたベストセラー商品の1つとのこと。特に6月16日の和菓子の日は、通常の10倍もの売上につながることもあるそうです。せんべいについてもコンビニのレジ横に陳列できる小分けの商品を開発することで、主要ターゲット層である高齢者の和菓子需要とマッチして売上を期待できるかもしれません。
※参照元:livedoorNEWS(https://news.livedoor.com/article/detail/11975887/)
せんべいを含む米菓市場では、若年層の需要開拓が長年の課題となっています。大手メーカーの各社が若年層獲得に向けた戦略を打ち出しており、それぞれの切り口をまとめてみたので、若年層に向けた商品開発やブランド戦略の参考にしてください。
亀田製菓では同社の人気商品である亀田の柿の種を使った話題となるプロモーションを多数展開し、米菓に興味を持ってもらうことで新たなユーザーの獲得に取り組んでいます。たとえば2019年に行なわれた「当たり前を疑え!国民投票」では、投票の結果を受けて柿の種とピーナッツの比率を見直したリニューアルを実施。また、「せんべい=和風」という概念を打ち壊す洋風米菓を新たに展開し、味のバリエーションを増やしています。
そのほかにも、おいしさの価値にプラスアルファする商品として、オリジナルのゆるキャラを設定した「無限エビ」を開発。各個食パッケージに「ゆるっとお告げ」の絵柄を入れて手に取る楽しみを提供することで、若年層の取り込みを狙っています。
三幸製菓では、主力商品である雪の宿のプロモーションに同社初となるアニメCMを採用。アニメへの関心から米菓に興味を持ってもらい、これまでアプローチできていなかった若年層への企業イメージの向上やせんべいの喫食機会の向上が狙いとなっています。また、新潟にある新発田第5工場に社会科見学通路を設置し、社会見学を通して子どもたちにせんべいの良さを伝える取り組みも行なわれています。
岩塚製薬では地元出身の有名人を特命コラボアドバイザーに任命し、若年層の視点を商品開発に取り入れることで新規顧客の獲得を目指しています。また、ベビーせんべいをいち早く打ち出したパイオニアとして、育児を頑張るお父さん・お母さんを応援するファンサイト「おこせん」を運営。育児に役立つ情報やフォトキャンペーンなどのコンテンツを展開しているほか、育休後の職場復帰の手土産として米菓を提案し、ファンづくりに取り組んでいます。
ばかうけや星たべよなどを販売している栗山米菓では、話題の漫画やアニメのキャラクター、若年層から人気のあるYouTuberとのコラボ企画を積極的に展開。若年層に興味を持ってもらうことで、ファン層の拡大を目指しています。
※参照元:ダイヤモンド・リテイルメディア(https://diamond-rm.net/sales-promotion/74756/)